2度目のFirst Love
「緊張しました。 撮影の最初の方は覚えてないです」



そう言って笑うと、門倉さんも口元を緩めた。



「急にごめんなさいね。 吉良が珍しく駄々こねるものだから、つい聞いちゃって。 心ちゃんなら問題ないしいいかなって思ったのも本当よ?」

「あはは、いーんです。 予定もなかったし、貴重な経験をさせて貰えて楽しかったです」

「ねぇ、心ちゃんもモデルやってみない?」

「え? 私がですか!?」



こんな綺麗でお洒落な人たちに混ざるの?


私が?


いやいやいや!


無理でしょ!



「ありがとうございます。 でも、遠慮しておきます」

「勿体ない。 今回は諦めるけど、また誘う。 それにまた急遽お願いするかもしれないし、その時は宜しくね」



YESともNOとも言わず、私は笑って返した。


今自分が何をしたいのか分からない。


どうしたいのかも分からない。


ただ願う事は1つだけ。


静かに幸せに過ごしたい。


その想いだけ。





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