2度目のFirst Love
座ってても離れない手。


もう振り解こうとは思わなかった。



「私…事故で記憶なくなっちゃったの。 自分の事以外覚えてない。 家族の事も友達の事も……」

「……今も何一つ覚えてない?」

「たまに夢で呼ばれるんだよね、「ココ」って……誰かもわからないのに妙にホッとする。 それが記憶と何の関係があるかは分かんない」



流れてくる涙を指先で拭った。


きっと化粧ボロボロだ。



「病院の先生がね、記憶が戻ったらもしかしたら記憶忘れてた時の出来事を忘れちゃうかもって……だから私誰のことも好きにならないって決めてた」



決めてたのに……。


好きになっちゃった時どうすれば良いのか何て考えてもなかった。



「心は俺の事忘れないよ」

「っ__何で!? 何でそんな事言えるの!? 絶対なんてないのに!!」



ついキツイ言いかたになってしまう。


それなのに秋生は優しく笑っている。



「もしも、心が俺の事を忘れたとしても、俺は諦めないよ。 何度でも心に好きになってもらえるように頑張るよ」



言葉が見つからない。


グッと唇を噛み締めた。



「好きだよ、心。 俺の彼女になって」



びっくりするくらい涙が溢れた。






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