言えない恋
次の日
ドラマの撮影ロケに出ていた俺は、待ち時間に倉岡と二人きりになった
スタッフの人に渡されたコーヒーを飲みながら、二人きりの沈黙が続く‥
「……」
「……」
昨日あんな真剣な話をしたばかりだから、なんとなくぎこちなさが生まれる
「疲れたか?」
沈黙を破ったのは倉岡だった
「ちょっとな。まぁでも最近休み多くなったし、体力的には平気」
「そっか。今日は遅くなりそうだし、辛くなったら言えよ」
「…心配すんなよ。俺、やるって決めたし、こんなことでめげねぇよ」
「‥お前は強いな」
芽衣と約束した
その約束を守っていくことで、芽衣も笑顔でいてくれる
俺は自信もって、この仕事をやりきるって決めたんだ
「倉岡」
「ん?」
「まじで心配すんなよ。俺なら大丈夫だから…」
「…分かってるよ。壮介も芽衣ちゃんも、ちゃんと信じてるから」
「うん」
倉岡の笑顔を見て、力が湧いた
…俺って、人の笑顔が好きだったのか?
ま、いいや。(笑)
「成田くん、準備お願いします」
「あ、はい」
スタッフに呼ばれ、ドラマの衣装に戻る
「頑張れ」
倉岡に肩をポンっと叩かれ、そう言われた
「‥サンキュ」