言えない恋



次の日


ドラマの撮影ロケに出ていた俺は、待ち時間に倉岡と二人きりになった



スタッフの人に渡されたコーヒーを飲みながら、二人きりの沈黙が続く‥


「……」

「……」


昨日あんな真剣な話をしたばかりだから、なんとなくぎこちなさが生まれる




「疲れたか?」


沈黙を破ったのは倉岡だった



「ちょっとな。まぁでも最近休み多くなったし、体力的には平気」


「そっか。今日は遅くなりそうだし、辛くなったら言えよ」




「…心配すんなよ。俺、やるって決めたし、こんなことでめげねぇよ」


「‥お前は強いな」




芽衣と約束した


その約束を守っていくことで、芽衣も笑顔でいてくれる


俺は自信もって、この仕事をやりきるって決めたんだ



「倉岡」


「ん?」


「まじで心配すんなよ。俺なら大丈夫だから…」




「…分かってるよ。壮介も芽衣ちゃんも、ちゃんと信じてるから」


「うん」




倉岡の笑顔を見て、力が湧いた



…俺って、人の笑顔が好きだったのか?



ま、いいや。(笑)




「成田くん、準備お願いします」


「あ、はい」



スタッフに呼ばれ、ドラマの衣装に戻る



「頑張れ」




倉岡に肩をポンっと叩かれ、そう言われた




「‥サンキュ」





< 107 / 147 >

この作品をシェア

pagetop