言えない恋





「テレビ?!え…」



「うん…芸能人なんだ」


「「えぇぇぇえ???!!!!」」


私と歩美は声を揃えて叫んだ



ん…?


もしかしてファンとか…?


熱烈すぎて好きになっちゃいました…的な?




「その人ね、学生の時に私が無理矢理入れたようなもんだったんだ、芸能界」



あ…‥


ファンじゃないよね〜



…だよね。




綾さんの知り合いの芸能人って誰なんだろ



「好きな気持ちを忘れようとしても無理だった。その姿を見た瞬間何かが爆発したみたいで…。弱ってたのかもしれない‥ずっと誰かに助けを求めてたのかもしれない‥、それがその人だったんだよ、きっと」




隠してても消せない想いか‥


爆発しちゃうほど綾さんはその人を想い続けていたんだ


今が嘘な幸せだ、って気付いたんだね




「気付いたら電話掛けてて‥番号とか変わってなくてホッとした自分もいたし、声聞いた瞬間昔に戻ったみたいになっちゃって…」




綾さん…


今の顔かわいい…―



すごく幸せそうな顔してる



「でもその人は私が結婚してること知ってて、"頑張れよ"って言われちゃった…。当たり前だよね、もうその人とは何もないし、私には旦那も子供もいる。最初から期待なんてしちゃダメなんだ、ってその時思った」



「「……‥」」


私と歩美は黙ったまま



綾さんの話を聞いてるだけだった


何も言えない


何を言ったらいいか分からないから‥





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