言えない恋
「おい、どした?」
倉岡に横から背中を押され、我に返る俺
「ん?」
「ん?じゃねぇよ。何かあった?朝から元気ないじゃん」
「別に。」
「あぁそう」
ぶっきらぼうに答えた俺に倉岡はため息まじりにそう言った
芽衣からのメールを見て以来、何かと考えてしまい仕事も手につかない
次の日になった今日もモヤモヤしたまんまだ
―――――
そして金曜日
愛車で待ち合わせ場所まで走らすと芽衣の姿はすでにあった
芽衣は車に気付くと足早に歩いて近づいてきた
「待った?」
「ううん、私もさっき来たとこだから。」
「そっか。…久しぶりだな、どこ行く?」
「………壮介ん家とか‥ダメ?」
どこ行く?なんて聞いてさ、今日は芽衣の話が優先なんだよな…
なんか…緊張してんな俺
いつもより暗めな芽衣に俺は言った
「家の方が話しやすい?」
「…‥うん」
なにかあるな…―
俺は何かを確信した
真剣な話の裏にとんでもないことが隠れてる…
そう思うと運転もスムーズにできなかった
初めて芽衣を家にあげるのに、よりにもよってこんな日になんて…気分が上がらない