言えない恋







"壮介が芸能界に入ったキッカケってなに?"




キッカケ…‥






"私ねぇ壮ちゃんならイケると思うんだ"




あいつが勝手に投稿したオーディションに俺は4千人から選ばれ受かった




"壮ちゃん、やったね!!私の目に狂いはなかったんだよ。頑張ってね"




もともと芸能界に興味のなかった俺は断ろうかと何度も思った




"私がファン1号ね♪大きくなってよ、壮ちゃん"





当時、惚れていた女にそこまで言われて後戻りなんてできなかった





綾のためにも…って



ここに踏み出した






最初の方は仕事もしょっちゅうあるわけではなく、地元に帰って綾と会ったりしていた。


けど、ここ数年忙しくなったせいか、綾との連絡すら途切れ、その内、綾の結婚を知らされた



妻として他の男を支える綾に俺のファン1号は似合わねぇ



俺が芸能界トップになっても喜ぶことなんて許されねぇ




だから、綾とは俺からも一線置いたんだ




付き合ってもなかった俺らには最初から深いものなんてなかったんだ




今じゃ仕事も何のためにやってんのか、キッカケを失った俺に向いてんのか…




面倒くさいだけだった






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