言えない恋
〜♪〜♪〜♪〜
俺の手の上で鳴り続ける携帯
スクロールされる"綾"の文字をじっと見る
別になんてことねぇよな…
ただのツレじゃねぇか
そんな迷うことなんか‥
いつも通り平常心で通話ボタンを押した
「…はい」
『もしもし、綾…です』
聞こえてきたのは、まぎれもなく、か細くて懐かしみのある声だった
「うん、どした?」
"どした?"なんて優しくて気持ち悪いな…俺
『いや…そんな用事じゃないんだけど、元気かなぁって…』
「まぁ元気かな。」
綾こそ元気ねぇじゃん、って言いたいけど、言えなかった
なんでだろ‥
『そっか…。あ、さっき見たよ、生放送のテレビ。あと今日からのドラマもちゃんと見るからね』
「おう、サンキュ。」
なんか…‥ぎこちねぇな
俺がか‥?
『……久しぶりだね、壮ちゃん』
綾の"壮ちゃん"を聞いたのは何年ぶりだろ…
返す言葉されも忘れさせるほど、俺は夢中だった
綾の声を必死に聞いて
脳に焼き付けていたいから