言えない恋





歩美は笑ってた




買った物をブラブラしながら笑って、私を見て微笑んだ




「よかったね」





その一言が嬉しくて、私は歩美に抱きついた





周りの視線なんて気にしない




「ありがと…!!」




嫌がる歩美から離れずに私は何度も何度も"ありがとう"って呟いた






もう怖くない





誰にも言えない恋でも、私の中では堂々としていられる





始まったばかりの恋に私は今、踏み出した







そのまま歩美と夜まで遊んで、帰宅したのは8時頃





すぐ風呂に入り、部屋着に着替え、テレビをつける





日曜日のテレビは普段見ないから、内容が分からない



…ってことで、DVDに変え、炭酸のジュースを飲みながら見る





"応援する"


"よかったね"




頭に浮かぶ、歩美の言葉



本当に嬉しかった



まだまだ先は長いのに、歩美が言った言葉で私の不安が消えていったの




自然と笑みがこぼれてくる




ふと携帯を手にして、考える




今…何してるんだろ…成田壮介







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