言えない恋





「私、こんな店初めてなんです。個室だし、暗いし、食べ物も最高に美味しいし…すごいですよね」



「そう…なんだ」




よく分かんねぇな



俺はこの辺に来た時は絶対ここに来る感じで、普段は個室じゃなくてカウンター


今日は店長に頼んで、奥の特別個室にしてもらった



ここの店長は話が早いからすぐ分かったらしい



"ごゆっくり"

なんてお世話だよな…






―――――




「はぁ〜お腹いっぱい♪すいません、ごちそうさまでした」


「‥どうも」




ご飯を済ませ、車に乗り込む



どこ行くかな‥




デートなんて何年もしてねぇし分かんねぇ



誘ったのはいいものの、どうしたら?





「あの…」


「ん?」



エンジンをかけた時、小さな声で話しかけてきた




「成田壮介って呼び方…嫌ですよね?」



「フルネームは…確かにないな」


「ですよね」




"成田壮介"は世間のほとんどがそう呼んでいるらしい


こいつらで発覚したんだけどな




「なんて呼べば…いいですか?」




…は?



俺に聞かれても…



つーか何でもよくね?




…フルネーム以外なら





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