言えない恋
部屋の時計を確かめ、電話を切ろうと決め、喋ろうとした時だった
『…壮ちゃん?仕事の電話?私やっぱり帰ろうか?』
え…‥
誰‥?今の‥
女の声がした
"壮ちゃん"
って‥言ってた
壮介、誰といるの?
『わりぃ、また掛ける』
「え…壮介…」
電話は切れた
なんで切るの…?
私に女の声が聞こえたと思ったから?
まさか壮介…浮気じゃないよね…―
違うよね…
"壮ちゃん"
なにか特別な関係?
じゃなかったら、あんな呼び方しないよ
もしかして付き合ってるとか…
私が二人目なのかも…?
携帯は開いたまま、私は動くこともなく呆然としたまま
…‥時計の針の音だけが響いた
――――
朝。
知らない間にソファーで寝ちゃってたみたいで腰がいたい
頭も痛い
体が重い…‥
ソファーで寝たから?
それとも、あの電話の女のこと?
どっちにしろダルいのは確か
今日は休もう。
会社に電話し休みをもらった
早苗にも電話して一応伝えた
風邪引いた、って。