言えない恋





その途中に芽衣から電話があって、綾の声が聞こえていたのは確か。



とにかく綾を早く帰したかった



旦那のとこに、子供のとこに帰して、綾を元に戻したかった




芽衣の電話はすぐに切り、その後、綾もすぐに家まで送った




"がんばれよ"



俺はそれだけ言って、綾から去った




意味はない。



他に言葉がなかったから言っただけ




家に帰っても、何も考えることなくすぐに寝た



早朝から取材の仕事が二件、ドラマの撮影も押してて忙しい



何も考えずに済んだ




初めてだ



仕事に救われたのは。







『芽衣がさ、倒れてダウンしてるって聞いてさ。行ってやったら?』




そう春に電話で聞かされ、そのまま芽衣の家に直行した





携帯もチャイムも何回鳴らしても出てこねぇ



…‥生きてんのか?



もう一回チャイム鳴らしてダメなら…



まじヤバくねぇか?




「はい…、どちら様ですか?」



なんだよ…



生きてんじゃん。



「俺だけど」




それだけ言うと、玄関はすぐに開き、芽衣の姿が見えた



明らかに病んでます…ね





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