瑠璃の雫



「松坂瑠佳さんが息を引き取りました。
………………







意味が分からなかった
いや
分かっていた




…もしもしっ?」




向こうの人の声が大きくなる
返事をしようとした
声はでなかった






ドンドンドン
ドン





玄関の戸が乱暴に叩かれる
「璃香っ…」


聞き覚えのある声だ
ガチャン
外界とこちら側を隔てる厚い戸が荒々しい音とともに壊れた
足音が…
温もりが…

冷たい空気を割いて








私の元へ届いた。























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