瑠璃の雫


目の上で鋏が動いて視界が晴れた
鏡を見せられる

ミディアムボブくらいの長さの髪に眉上の前髪


















もう一度鏡を見る





……?







前髪どこ???

翠の男がケラケラと笑うから私はそちらをギュンと睨んでやった

「気分転換にいいでしょ…?」

前髪を何度も引っ張って見るが長さは変わらなかった

「もういい。」
部屋に引き帰した。

…こんなんじゃ学校行けない。
いやそれは私が学校に行かない口実
行きたくないから無理やりつけた理由

深く息を吐いた

伏せていた写真立てを立ててみる
「……」
そこには笑っている彼女と私が写っていた
















「璃香、あさだよ。」
陽は昇ったばかりだった
東の空に輝いている

一つ伸びをして窓の外を見た

快晴だ

雲一つない真っ青な空とは裏腹に心は曇っていった
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