瑠璃の雫

今日も冷たい階段と廊下を通りリビングへ入る
そこのテーブルには湯気を立てたスープとふんわり焼けたパンが置いてあった

「いただきます。」














……




「ごちそうさま。」

久しぶりに食べた朝食は意外にもすんなりと胃袋に納められた
シンクに食器を置き歯ブラシを口にくわえた
もう一度部屋に上がる

するる

制服に袖を通した









「璃香
髪やるからおいで。」


粗いブラシで髪をとき次
に細かい櫛で髪を解くオ
イルを手になじませて髪
に揉み込みアイロンで伸
ばしてカールを作る。白
い兄がやっていた手順を
そっくりそのままその手
つきまで同じで翠の彼は
やってのけた。



「ありがと。」

空っぽだった鞄には何を入れていいのか
わからずとりあえず何も入れなかった。

「じゃあ行こうか。」


彼の言葉と同時に自分からは絶対に開けてこなかった外と中を繋ぐ扉が開けられた
眩しい光が目に入る
門の外に出れば行き交う人々の視線が突き刺さった
足が震えて一歩も踏み出そうとしない
「璃香…?」











差し伸べられた手を取って一歩前へと踏み出した。
ー外は中と違ってあまり冷たくなかった
日差しが暖かいくらいだった
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