瑠璃の雫


鞄とお弁当を持って教室へ急いだ


「こら!
廊下走るなー!!」


あ、あのうるさい先生…
昨日の数学の先生が注意して来た


「すみませーん。」


私は足のスピードを緩めることなく教室へたどり着いた

「璃香!」

私の姿を見るなり立ち上がった彼女
「どうだった?」



「多分、いい。」



「その返事はいつも通りだね。」
やれやれと笑った彼女はお弁当を広げ机をくっつけた

「いただきます。」

高校生活初のお弁当は
"テストお疲れ"と書かれていた
「なにそれ。
すごいね。」


笑心が覗き込んだ
彼女はサンドウィッチ
タマゴサンドだ


「ごちそうさまでした。」


お弁当を片付けた
「璃香、今日は残れるんだよね?」


「うん。」


「良かった。
来たばかりだけど毎週火曜日は定例会議だから。」


「あ、そういえば!」


生徒会の会議
久しぶりだ〜


「男子の方の会長は誰なの?」


「さあ、
瑠佳くんだったけど…」



え?
「瑠佳?!
なんで…?」


「なんでって瑠佳くんに失礼ね。
何かかなり頑張ったみたいよ。
進級テスト……」


瑠佳…
頭が悪いわけでもなかったけど特別いいわけじゃなかった
真ん中よりはいいって感じ…
会長なんて…〜♪


チャイムが私の思考回路を止めた


〜♪
〜♪
〜♪
〜♪


チャイムが4回なって授業が終わった
「璃香行こう。」

「今日はどっち?」

「男子校舎。」

胸につけるバッジを渡されそれを付ける
「笑心もしかして…
ずっと1人で行ってたの?」



「うん。」



「ごめん…」



「いいよ。」



校舎を行き来していいのは生徒会役員でも会長と副会長のみ
その他役員は異性の校舎に入ることは禁止されている



「さあ。
入ろうか…」



白い石でできた女子校舎とは違うレンガのシックな校舎
私はこっちの方が好き…
内装は木で統一され落ち着いた雰囲気だ



「ここ。」

3階の一番奥
一番大きい扉
笑心が何のためらいもなく開ける

「いらっしゃい。」

紅茶の香りが充満していた
いい香り…

出迎えたのはあの黒い男…
こんな人…
中等科まで役員にいなかった…
うんん
役員って枠じゃなくても生徒にも居なかった

男を見る
目が合った

あなたは…
いったい……

奥から出て来たのは金色の髪をした男

この人は知ってる
「あれ璃香やっと来たんだ。」

「久しぶり。
東良。」

ふふっと笑って席についた
席的に黒い男が…




会長




東良が副会長……?




東良はずっと会長だった
黒いのと瑠佳がテストで抜いた?




……?
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