瑠璃の雫
「どしたの。
目腫れてる……。」
涙は歩いているうちに止まった
「大丈夫?」
小さくうなずいて部屋に行った
「少し休むね。」
「分かった、起きたら教えて。
伝えたいことがあるから。」
「分かった……」
布団に入って目を瞑った
また少ししたが騒がしい
窓からは東から陽が差し込んでいる
寒い……
瑠佳の部屋から持って来たトレーナーを部屋着の上に着て下に行った
翡翠はいつかの黒い服に身を包んでいる
「翡翠……
今日は何だっけ………。」
「瑠佳の49日だよ
璃香準備して。」
瑠佳が死んでからもう49日も経った…
お墓にはいったあの白い壺
………
「体調はどう?」
「もう大丈夫!」
黒い服に着替える
しばらくしてチャイムが鳴って
お坊さんが家に入った…
呪文もお経も変わらない気がする。
何てわけわからないことを考えていた。
パタンと戸が閉まってまた2人になる
「ねえ、翡翠…」
「ん?」
夜ご飯を作るため台所に立った彼に話しかけた
「瑠佳が亡くなってもう7週間だね。」
「うん。
だいぶだったね。」
「ねえ。
翡翠、瑠佳は病気だったの?」
……
……
いつものこの間
皆開ける……
この間は何?
「翡翠は知ってたんだよね。
瑠佳が病気だったって…
何で黙ってたの?」
彼は口を開かない
何かに止められているかのように……
「もういい……。」
家を出た
外は暗い
昨日から降り続く雪はまだやまない
さむ……
サンダルとショートパンツ丈のパジャマで出たことを後悔した
そして周りを見てさらに後悔する…
大人の世界……
ネオンが妖しく光る街
ここどこ……
着飾り化粧をして男を誘う女たち
加齢臭を漂わせる鼻の下を伸ばし誘いを受ける男たち
男たちの視線が……
ニヤニヤと品定めするような目で私を見る汚い大人たち
足が震える
怖い……
「……。」
走り出した。
はあはあ……。
「ねえ。
君いくら?」
気づいたらあたりにネオンはなかった
暗い路地
後ろ声をかけられた
振り返るとおじさんがいた……
誰……
「ねえ〜。」
腕を掴まれる
お酒くさい……
「離してください…っ」
ーがしゃん
手を払った
その反動で男の手はビンに触れ赤く線が入る
「いってえなー。
お前…………。
こっちが下手に出出ると思ったら大間違いだぞ。」
さっきより強く腕を掴まれ引っ張られる
やだ…
声が出なかった
「何してんの。」
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