瑠璃の雫
聞き覚えのある声だった
声のした方を振り返る
暗い路地裏に溶け込む男
鋭く光る瞳
涙が溢れた……
「目瞑ってて。」
大人しく目を瞑る
「いいよ。」
おじさんはいない
「何でここにいるの……。」
「こっちのセリフだ。」
厳しく強い目でこっちを見た黒い男
白い男にどこか似てた
「ありがとう。
助けてくれて……」
「どーいたしまして。」
手を引かれ歩く
「送るよ。
もう遅いし……」
家……
「いやっ、帰りたくない。」
彼の手を振り払う
「あ、公園!
私ブランコ乗りたい。」
近くにあった公園に1人で入る
キーキー
ブランコが1つ、
2つ揺れていた
時間が静かに流れる
ポケットに入ったリンゴマークが震えている
静かに拒否へスライドした
「いつまでここにいるの?」
隣でずっとブランコに座る男
「松坂が帰りたくなるまで……」
「何で?」
男がこっちを見た
じーっと目を見たまま口を開かない
この間……
私知ってる……
「なーんだ…
曜も瑠佳か……」
要は相変わらず無表情だった
「帰る。」
「送る。」
曜は数歩後ろをついてくる
「1つだけ質問していいかな。」
何も言わない
「瑠佳とどんな関係?」
あの日の口調で言った
「ただの悪い遊び仲間。」