瑠璃の雫

彼の顔が少し曇る

「私と瑠佳の幼馴染なの
髪も瞳の色も緑色なのよ。」

頑張って表情を作りながら言を繋いだ
彼はただ真剣な表情で私の顔を見ている




「瑠佳が居なくなってから彼が瑠佳の代わり……。
なのに……
喧嘩しちゃった。
私のお家なのに私が出るなんて不思議ね……」


ははと乾いた笑いが出る
「笑心とだって……
せっかく仲直りしたのにまた……





なんでだろう……
瑠佳は私のお兄ちゃんなのに



なんでかな…
ここ数ヶ月ですごく……





すごく
遠くに……
遠い存在になっちゃったんだなって……

それに皆が知ってて私が知らないことが沢山あって私……







寂しい………


















寂しい…よ……?」


言葉にして分かる
私の気持ち
整理されて見えてきた感情


寂しさ
皆が知っているのに私だけ知らない孤独感
仲間外れにされたような感覚


彼の白い手が私の頭頂部を二回叩いて包んだ


「璃香…」


優しく呼ぶその声とそのトーンは白い私の兄とどこか重なる
正反対な色の2人なのに彼等はどこか似ていた
「顔を上げて…」
顔は上がらない
鼻からも目からも水が垂れる
ぐしゃぐしゃだ


「俺も…
みんなもまだ何も言えない
それは変わらないけど
それが何故かだけは教えられる…」




少しだけ顔を上げた
彼の表情は和らかい

「瑠佳に頼まれたからでしょ…」
可愛くない私の口からそんな言葉が漏れた









「うんまあそれはもちろんだけど…
じゃあ瑠佳はなんでそうしたんだろうね。」



彼は間を開けた











なんで…







なんでだろ…


答えを彼に求める
















「璃香、君が大切だったから…。
笑心ちゃんだって幼馴染の翡翠さんだって君が大切だから瑠佳の言葉を
瑠佳との約束を守ったんだと思うよ。」



「うん…






うん……」


瑠佳の頭だからその約束で私がこんなに悲しくなるなんて思わなかったんだろうな……
そう考えたら少しおかしくなって霞んでいた視界が明るくなった
< 56 / 65 >

この作品をシェア

pagetop