雨の音〜切ない片思い
みんなの飲み物がそろった。

「じゃ、カンパーイ!」

この声と共に合コンが始まった。

「とりあえず、自己紹介しよーぜ!」

「じゃ、俺からな!工藤真斗!18歳!鳶やってます!こう見えて子猫に弱いです!っとまぁ、よろしく!」

“じ、自己紹介?!待って待ってどうするの?”

「次、たくみ!」

“え?”

「あーどうも。清水匠です。まあ、よろしく。」

声があの時の大工さんにそっくりだった。

“顔、初めて見た”表情はなく、どこか悲しそうだった。

これが彼の第一印象だった。

「次、奈美!」

「なみ!あ、えっと、宮元奈美でふ!よ、よろしくお願いします。」

“か、噛んじゃったよ”と顔を真っ赤にした。

みんなクスクス笑っている。

彼の顔見るとやはり笑っていた。

ちょっと嬉しかった。

みんな歌ったり、話したりしている。菊も楽しんでいた。

「ねぇ!この歌!ドラマの主題歌だったよね!なんだったけ?」

適当に話しかけて見た。

“これが限界!!”

「杉元正明のやつだろ?」

“え?”

「奥さんが死んじゃうやつ。ねぇ、屋根に登ってたよね?」
「質問多いな〜」

と、彼が笑った。

「あ、ごめん!忘れて!間違え!人違い!」

“何を言ってるのよ私”顔が熱い。

「3丁目の山中さん?それとも2丁目の戸田さん?あー!あれか、5丁目の源さん?」

思い出しながら彼が言う。

思わず笑ってしまった。

「2丁目の方!」
「なに笑ってんだよ!」
「ごめんごめん!」
「屋根の上で仕事してんだからどこか言えよな!」

2人で顔を合わせて笑った。

その後ドラマの話で盛り上がった。
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