クール姫の秘密
茜が一週間学校を休んでる間、圭が茜として学校に来てたこと、
たぶん惚れたんやろう、茜のクラスの速野とずっと2人でいちゃいちゃしてたこと、
速野といたいからか、茜になりきってることを忘れあたしを遠ざけたこと
帰りを一週間断られ、速野とデートしてたこと
周りのやつらは茜があたしを捨て速野と付き合ってると思ってること
んで、あたしは茜が好きかわからんくなったこと
昨日圭と速野に呼び出され、空き教室で、あたしが速野をいじめたと泣く速野と圭に責められたこと、
あたしは圭だと気づいて、茜が風邪やって聞いて茜んちに来た
んで今にあたる
「────、まあこんなもん」
「…………。」
そりゃまあなんとも言えんわな
まさか寝込んでる間にこんなことなってるとは思わんやろーし
黙って何か考えるようにしてた茜は、ふたま顔をあげ、あたしの顔を覗き込んできた
「…葵、俺のこと、」
「好きやで、ほんまに。大好き」
不安な顔してんな思ったら…好きかわからんゆーたとこ気にしてたんか
「…、」
「たぶん、無意識やけど、圭やから速野といてもなんも思わんかったんやと思う。
ヤキモチやかんくなってて、そんでわからんくなっててん」
知らんうちに気づいてたみたいな?
「葵は、なんで圭って気づいたの?」
あたしは、圭に会ったんは一回しかない
茜と圭は一卵性でほんまに見分けつかんくらいそっくり
なんか、まじで瓜二つ
背丈も顔も声も、髪型なんか簡単に似せれるしな
「一週間、圭とは近づいてへんかったから気づかんかってんけど、」
ちゃんと顔とか見てへんかったしな
…速野とおんの見んの嫌で背けてたし
「けど、今日呼び出されて、茜…圭に近づいたとき、全くドキドキしんかったし、手掴まれたときも、掴まれたとこ熱ならんかった」
いつもはドキドキして、触れられたとこ熱なるからな
「あとは、あたし圭と一回会ったとき、最初っからこの口調でおったやん?」
茜の家族やし隠す必要ないか思って、関西弁のまましゃべってた
「茜に前、敬語やったら標準語なるゆーてたん覚えてる?」
「ああ、すげー嬉しそうに言ってたやつな」
…そんな嬉しそうやったんか。
「そーそ、茜はあたしが学校で敬語なんの知ってるけど、圭は知らんやん?」
「ああ」
「やから、あたしが空き教室で敬語喋ったんに圭驚いててん」
あんとき速野もおったしな
普通に学校でも関西弁やと思ってたんやろ
「茜は知ってるからいちいち驚かんし、近づいてわかったけど、茜と雰囲気ちゃうな思って、ああこれ圭か。みたいな」
呼ばれたとき、ん?と思ってて、んで口調のんであーってなって、
「確信得たんは、圭に殴られ「は?」あ、おい」
遮るなや
「殴られた?」
「殴られそうになって、掴んだ」
「チッ、あいつふざけんなよ」
「まあまあそれはまたあとでな、
んで、そんとき圭の拳掴んだとき、これ茜の手とちゃうってなって、誰こいつ。あー圭か。みたいな」