遠くのレモン
「セナちゃん、私の事、分からないかな?」

おんなのひとのこえが、
どこかとおくにききおぼえがあった。

でも、ただそれだけで、
なにもおもいだせなかった。

「ごめんなさい、わからない・・・。」

おとこのひとと、そのおかあさんは
かおをみあわせた。

「やっぱり、忘れちゃったのか・・・」

「少しずつなら、思い出せるかしら・・・?」

ちいさなこえで、そのふたりははなしていた。
ふたりとも、かなしそうなめをしていた。
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