この愛、スイーツ以上
副社長の言うことに安田さんは突っ込みをいれていたが、難なくかわされた形になるどころか話の方向性を変えてしまっているような。

普段から安田さんはマイペースな副社長を相手に気苦労が絶えないように見えるが、さりげなくサポートしている姿に私は真似できないなと感心していた。

それにしても汚なくないからとは……そういう意味で困っているのではないけど、つまり副社長は何も考えずにやったということだろう。

一人で恥ずかしくなっている私は馬鹿みたいかも。

私も安田さんにのって、変わった話の会話に参加しようと口を開きかけたが、先に口を開いた副社長の爆弾的発言にこの場から消えたくなった。


「キスまでした仲だから、今さらこんなことを気にはしないよね。あれ? 吉川さん、どうした?」


前触れもなくキスしたことをばらすから私は凍りついた。

どうした?じゃない……。

何を言い出すの?


「はあ? キス? 副社長、いつの間にキスしたんですか!」


副社長に負けず劣らず冷静な安田さんが珍しく声を張り上げた。
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