この愛、スイーツ以上
公私混同にもなるこの副社長の案に同意できる人はいないだろうけど。


「まあ、冗談だけどな」

「冗談にしては真剣な顔でしたよ」


安田さんの返事に私はうんうんと頷いた。本気で言っているように見えて、企画に出して通らなくても自分用にと作ってしまうのではないかとも思われた。

副社長の権限を使って……。


「人形とか考えないで実物を手に入れればいいんですよ。もうひと踏ん張りですよ」

「俺の物になるまでもうひと踏ん張りか。手に入れたらものすごくかわいがるつもりだけどね」

「思う存分かわいがってあげてください」


話の流れがおかしな方向になっているように感じるのは私だけ?

二人の会話に入れなくなり、マウスを持ってるだけで止まっていた手を動かす。会話の内容は私のことだけど、反応するのは避けたい。

だけど、脳内では反応している。

ものすごくかわいがるってどのくらい?

どんなふうに? 何をされるの? 何をしてくれるの?

副社長が優しい笑顔で何をするのかともわもわと想像していた。
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