この愛、スイーツ以上
しようと決心したのに、出来なかった。早く返事を言いたいのに。

いつ言おうかな。

今日帰り、お見舞いに行こうかな。今日1日副社長の顔を見れないのは寂しい。

午後になってから、安田さんにお見舞いに行ってもいいかと訊いてみる。

安田さんは腕組みをして、天井を見上げた。そんなにも考え込むような質問をしてしまっただろうかと不安になる。


「吉川さんのお見舞いを副社長が喜ぶか喜ばないか、んー、分からないですね。来てくれて嬉しいと言うかもしれないし、移るから来なくていいと怒るかもしれないし」

「怒られても構わないので、出来ることなら行きたいです」

「どんな様子か聞いてみますね。ぐったりしていたら行かないほうがいいでしょうからね」


安田さんは社長宅に電話を掛けた。真由美さんは不在だったが、副社長は病院から戻って寝ていると教えてもらっていた。

安田さんの判断を待つ。行ってもいいと言ってくれるといいな。

安田さんはまた腕組みをして、今度は窓から空を眺める。

そして、答えが決まったのかキリッとした顔で振り向いて、私を見た。
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