この愛、スイーツ以上
「お昼ご飯を食べてから熱を測ったら、下がったようです。今は寝ているらしいですが、お見舞いに行っても大丈夫でしょう。多分喜ぶという方に賭けます」

「私も喜ぶ方に賭けます」


安田さんは同じ考えだと賭けにならないと笑った。


行けると決まってからの私はずっとそわそわしていた。早く退社時間にならないかと何度も時間を確認した。

まだ三時。あと三時間経過しないと会えない。時間の経過が遅く感じて、意味もなく立ち上がって窓の外を見た。

あまりにも落ち着きのない私に安田さんは苦笑して、書類の入った封筒を渡してきた。今から副社長に届けて欲しいそうだ。


「今から行って戻るとちょうど終了時間になると思うので、そのまま直帰でいいですよ」

「本当ですか!」

「喜ぶ吉川さんはやっぱりかわいいですね……っと、副社長に聞かれたらまた怒られますね」


書類を胸に抱えて私はタクシーに乗った。タクシーで行くようにと安田さんが手配してくれた。

タクシーを降りて、大きな家を見上げて深呼吸をした。プロポーズの返事を決めたけど、間違っていないだろうか。
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