この愛、スイーツ以上
「あはは!」


突然虎太さんが笑うから驚いた。虎太さんは涼太さんが不機嫌になっている理由が分かったようだ。

理由が分からなく首を傾げる私に答えをくれた。


「由梨ちゃん、涼太は俺が先にもらったのが気に入らないんだよ。しかも手作りだというから余計にね。だから、あとで涼太にも作ってあげて」

「ああ、そうだったんですね! はい、涼太さん」


私はもう一つの箱も取り出して涼太さんに渡す。彼にはバレンタイン当日にチョコケーキを作る予定にしているが、多分今日もあげたら喜んでくれるだろうと思って用意した。

帰り送ってもらった時に渡そうと考えていたが、今が良さそうだ。


「あ、ありがとう」


まさかそういう展開になると思っていなかったのか涼太さんは珍しく戸惑っていた。

虎太さんはそんな涼太さんを見て、微笑む。


「由梨ちゃんと一緒にいると涼太の表情は豊かになるね。クールだった涼太がこんなにも変わるんだから、由梨ちゃんはすごいな」

「そんな! 私は何もしていないですよ」


今までの涼太さんは確かにクールだったけど、微かに所々で表情を変えていた。今ほど分かりやすくはないけれど。

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