この愛、スイーツ以上
さらにもっと下を見るといつの間にか起き上がっていた紫乃ちゃんまでもが私を見ていた。

ただ副社長に見惚れて挙動不審になっているだけなのに、なぜか彼と二匹に心配されているようだ。

しかし…かっこよくてドキドキしたと言ったのはスルーされた?

もしや『かっこいい』は言われ慣れていて気に止めることでもなかったのかも。

『かわいい』と言われ慣れていない私は毎回ドキドキしているのに。

副社長が言う『かわいい』は犬に言うのと同じだから、特別な感情はないのだろう……やっぱり私は女として意識されてはいないんだ。

自己解決だけど、辿り着いた答えに寂しさを感じて空になったカップに視線を落とした。少し虚しい気分。


「由梨、どうした? 赤みはなくなったけど、逆に顔色がよくないような。どこか痛いとか気分が悪いとか?」

「いえ、具合は悪くないので気にしないでください。すみません、このあと用事があったのを思い出したので帰ります。コロ、帰るよ」


キャリーバッグを開けて入るように促すが、コロは副社長のそばを離れない。
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