この愛、スイーツ以上
「そこで、吉川さんの出番になります」

「え、私の出番ですか?」


どこで私が出るの?

今の話の流れでそんな必要部分があったかと思い返すが分からない。


「つまりパーティーに吉川さんも同行してもらいたいんです。吉川さんが一緒なら副社長も出てくれるかと。ね、副社長、出られますよね?」

「うん、吉川さんと一緒なら出てもいいよ」

「さすが吉川さん効果は大きいです。パーティーに必要なドレスなど諸々はこちらで用意しますので、深く考えずに副社長の隣に並んでくださいね」


穏やかな笑顔を見せる安田さんに、私は何も返せなく固まった。

パーティーなんて、友達の結婚式くらいしか出たことがない。副社長が招待されるパーティーとはどういったものだろうか。

全く想像は出来ないけど、自分とは世界の違う人たちが集まるのは確かだ。そんな場にこんな庶民な私がのこのこと出ていっていいものなの?

二人は簡単に言うけれど、簡単に首を縦に振れない。

簡単にパーティーに出れる人種ではないのだから。

だけど、首を縦に振らない私に副社長は決定的な言葉を発する。

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