この愛、スイーツ以上
意外な副社長の反応に目を丸くしていると、虎太さんがもっと驚くことを言う。


「吉川さん、子供の頃の涼太は本当にかわいくてね。トゴタンキャラクターは涼太がモデルなんだよ」

「ええっ! このキャラクター、副社長がモデルなんですか?」


にっこりと笑った男の子にも女の子にも見える愛らしいキャラクターがトゴタンの企業キャラクターで、それは子供の頃から馴染みのあるものだ。

10センチサイズのキャラ人形は応接室のサイドテーブルにも置かれていて、私はそれを指差した。

あれが副社長とは今のイメージと程遠い。


「そう、それ涼太なんだよ。5歳くらいの涼太はいつもニコニコしていて本当にかわいくて、その涼太を見て祖父が思い付いたんだ」

「そんな話、もっとしなくていいから」


キャラクターが出来るまでの経緯を虎太さんが語り始めると副社長は不機嫌になった。

だけど、不機嫌な副社長に構わず虎太さんが話し続けようとしたその時、安田さんが入ってきた。


「お話中のところ、すみません。副社長に電話が入っています」

「電話? 来客中なのに誰?」
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