この愛、スイーツ以上
「それで商品開発部にいたんですね」

「うん。自分の考えたものが世に出されて、子供だけでなく大人も笑顔になれたらいいと頑張っていた。俺は目を輝かせて取り組んでいる涼太こそ、いずれ社長になるべき人間なんじゃないかと入社してから思っていてね」

「それで退職されたんですか?」

「うーん。でも、一番の理由は違う形で人の笑顔を見たいと思ったからなんだけどね」


私はなるほどと頷いた。虎太さんは今、イベントプロデュース会社を経営している。人を笑顔にする企画を作る会社。

いつも明るく元気な虎太さんらしい会社で、結婚式をプロデュースしてもらった先輩もいる。

その結婚式の写真を見せてもらったが、本当に素敵で写っているみんなが心から笑顔になれているのが伝わった。

私もいつか結婚するなら、自分らしさを出せてゲストも笑顔になれる結婚式をしたいなと思った。


「ごめん、ちょっと長引いてしまって」

「吉川さんと楽しく話していたから気にしなくていいよ」


虎太さんの話が終わったよいタイミングで戻ってきた副社長は私の隣に座った。
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