この愛、スイーツ以上
副社長に誘われたとはいえ、自分の財布の中身が気になった。自分の分だけを出すとしても足りるだろうか。

これからどんな料理が出てくるのか分からないが、高級なものが出てくることだけは予想できる。

財布の中身も心配だが、それよりも心配なのがマナーだった。

この前買ったマナー本には日本料理の食事マナーも書いてあったけど、パーティーは洋食だろうとフランス料理のテーブルマナーと……立食かもしれないからとその部分しか読んでいない。

前もって知っていたらちゃんと予習してきたのにと、この場で悔やんでも仕方がないけど、悔やまれる。


白ワインと一緒に先付といわれる物が運ばれてきた。小さい器に入ったそれは一口で食べれる量だが、一口で食べてはいけないだろう。

とりあえず箸を持ってはみるが、先に進めない。困ったな。

そうだ! いい方法が浮かんだ。

思い付いた方法を実践しようと副社長を動作をそっと見る。

彼の食べ方を真似て食べればいいことに気付いた。彼が食べたら私も同じように食べれば間違いはないし、失敗しない。
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