この愛、スイーツ以上
そう言いながら、距離をさらに縮める。

今ここには二人しかいないけど、ここは食事をする場所だ。なのに、どうしてこの人は自分の部屋で寛いでいるかのようにしているんだろう。

それともこういう場所では二人きりになったら、何をしてもいいものなの?

ううん、いくらなんでもそんなはずはない。

私の顔を覗き込むように近付く彼と視線がぶつかるが、真っ直ぐ見ることが出来なくて、視線を下にずらした。

さっきセクシーだと思ったほくろに視線が止まる。少し大きめなそのほくろはちょっと膨らんでいるように見える。

どんな感じなんだろう。触れてみたいかも……って、また何を考えているの!

今夜の私はおかしい。副社長がセクシーだから、思考がおかしくなっている気がする。

副社長のせいにしてはいけないけど、こうやって近付く人がいけないのは確かだと思う。


「由梨」と呼ばれて「はい」と返事をして再び彼の目を見る。真っ直ぐとこちらを見る目は酔っているのか潤んでいるように見える。

じっと見られるとドキドキする。どうしよう。

焦る私の心を知らない彼はもっと焦ることを口にした。
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