この愛、スイーツ以上
「由梨、好きだ」


まだ濡れている彼の口から出たストレートな告白に偽りは感じられない。

私が困惑していると思っていないようで、包むように抱きしめてきた。伝わってくる温もりに私も抱きしめ返したいと思ったが、ここで冷静になる気持ちが出てきた。

ガバッと顔を上げて、副社長の胸を押して距離を取る。副社長は私の動きに何事かと目を丸くさせていた。


「ご、ごめんなさい!」

「なんで謝るの? 俺のこと嫌い?」

「いえ、嫌いではないです。でも、ごめんなさい! ダメなんです」


理由もなく意味不明に謝ることしか出来ない。それでも何度も首を横に振った。

密かに恋するだけならいいけど、受け入れてはいけない。受け入れたらいつか傷付く。

彼との未来を安易に想像出来ないから、拒否した。


「無理強いしたつもりはないけど、キスが嫌だった?」

「いえ、嫌ではなかったですが、ダメなんです」


無理矢理されたキスではない。同意の上でのキスだった。焦っていても、ちゃんと考えるべきだった。
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