この愛、スイーツ以上
「もしかしてさ、大平みたいのが由梨のタイプ? それとも大平が好き?」

「タイプ? え、あの、大平さんは優しくて良い人だとは思いますし、素敵だなと憧れてもいますが、好きとかは……」

「憧れ?」


全部言い終わらないうちに両肩を掴まれた。不機嫌そうな顔がますます不機嫌というか険しくなっている。

副社長は何が言いたいのだろう。何で何度も大平さんのことを聞くのかな。

鍵の件はいいのかな。でも、鍵をもらっておかないと明日以降も副社長が来るまで入れない。


「安田さんから鍵をお預かりしているならお借りしたいのですが」

「鍵は預かっていない。俺と安田さんが持っているほかは守衛室にあるだけなんだよね」

「そうですか、それでは私入れないのでどうしたらいいでしょうか?」


まだ両肩を掴んでいる彼との距離は近い。この距離に心臓は速くなっているけれど、静めようと必死で鍵のことを考える。

明日も副社長より先に出社するつもりなのに入れないのは、本当に困る。何か良い方法はないだろうか。
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