この愛、スイーツ以上
昨日の今日だから無理もないのかもしれない。時間が経って薄れていくいいけど。

そんなことも思いながら、ファイリングを再開させると電話が鳴り、内線ランプが点滅していた。


「はい、副社長室でございます」

『お疲れ様です。総合受付です。吉川さんに宗田藍華さんが訪ねて来ています。アポイントはお取りではないそうですが、いかがなさいますか?』


『宗田藍華』という名前を聞くのは初めてで、私あての訪問だと言うが、なにか間違いではないだろうか。営業部に同じ名字の人がいるから、その人と間違えているのかも。


「すみません。その方に心当たりがないのですが」

「副社長はご在室でしょうか? 何度かそちらにお通ししたことがある方ですが」

「申し訳ございません。副社長は今会議に出席中で不在です」


ここに何度か来たことがある人だというなら副社長の知り合いだろう。訪ねてきた人物の名前を頭の中で復唱する。

副社長か安田さんから聞いたことがあったかな。

宗田藍華さんか……あ! さっき副社長と虎太さんが話していた人かも。
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