俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「実は……」

仕方なく、残業の経緯をざっと説明した。
最後まで聞き終えた大河は、信じられないという声で呟いた。

『定時後に指導……篠原がそんなことをOKしたのか?』

「ごめんなさい、私が無理にお願いしたから篠原さんまで残業に……」

『あいつは頼まれたからってなんでもOKするようなやつじゃないし、面倒見のいいやつでもない。定時後に他人のために残業するようなタイプじゃないんだけどな』

電話の奥でぶつぶつと独りごちる大河。今日の篠原さんの行動は、大河にとってよっぽど予想外のものだったらしく――

『お前、どうやって篠原に取り入った?』

「取り入るって……」

なんだかまるで私がたぶらかしたみたいな言い方じゃないか。失礼な。

『篠原に気に入られるようなことをしたのか? あいつがお前に親切にする理由がわからない』

「特になにも……。ああ、でも、率先して資料を作ったことは、褒めてもらえたかな」

『褒める!? あいつが!? 今まで恭子のことすら褒めたことなかったのに』

またしても大河にとっては衝撃だったらしく、驚き慌てている。

『もしかして、莉依は篠原のタイプなのか……?』

「タイプって……どういう意味?」

どんどん話が逸れてしまっている。どうしていつの間にか篠原さんと私の恋愛沙汰に及んでいるんだ。
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