俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「いや、私が恰好いいって思ってるんじゃなくて、世間一般的に恰好いい部類に入るんじゃないかなって――」

『ほ~う。お前はああいうのが好みなのか』

「ち、違うよ!」

『篠原とふたりきりの残業がずいぶん楽しかったみたいだな。俺への連絡をすっかり忘れるくらいに』

「そ、それは――」

次々に墓穴を掘っていく私へ、大河のSっ気はどんどん増してくる。

『目の前にこんなにいい男がいるっていうのに、目移りするわけだ』

「そんなんじゃ……」

『じゃあ、答えろよ。俺と篠原、どっちがいいんだ?』

「それはっ……」

もちろん大河だけど、そんなことをわざわざ口にさせるの? わかってるくせに。
けれど、おろおろと答えあぐねる私に、大河は本気で腹が立ったみたいだった。『もういい』不機嫌にそう言って、私の言葉を遮る。

『俺と篠原のどちらがいい男か、お前の体に叩き込んでやる』

「なっ」

体に叩き込むって――どういうこと……?

思わず私は赤面してしまった。なにしろ、体と言われて思い出すのは、大河のちょっと強引なキスと情熱的な抱擁――。

『次に会ったときには、存分にかわいがってやるから覚悟しとけよ』

それだけ言い放って、ブツッと回線の途切れる音がする。

「ちょ、あの、大河……!?」慌てて呼び止めるも時すでに遅し、ツーツーという虚しい電子音だけが響いてくる。

切れてしまった電話を眺めながら、ベッドの上で呆然と座り込む。

「なに考えてんのよ……」

思わず体を熱くさせながら、携帯電話を握りしめるのだった。

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