俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
秘書課に到着したのは定時の一時間前。
けれどすでに篠原さんは出社していて、自席のパソコンに向かってカタカタと手を動かしていた。
「おはようございます」
席に荷物を下ろしながら数席離れた場所にいる篠原さんに一礼すると、彼は手を止め、私の方へ向き直った。
「おはようございます。今朝、来ていただけて安心しました」
「はぁ……それは、どういう……」
「昨日、ずいぶんと遅くまで残業させてしまったので。嫌になってしまったのではないかと」
ほんの少しだけ申し訳なさそうに言う。
もしかして、残業を強いてしまったと気に病んでいたのだろうか。
「いえ、それは私の方からお願いしたことですから! こちらこそすみませんでした、遅くまでご指導いただいて」
慌てて手をパタパタさせて否定すると、篠原さんはちらりとうしろを振り返って目線を投げた。
その向こうには、前第二秘書であり大河の元カノ、恭子さんの姿がある。
「田上から、今朝注意をされたところです。あまり初日からいたぶるなと」
「いたぶるなんて、そんなっ……! ありがたいくらいです!」
「ありがたい……ですか」
言って篠原さんはふっと短く息を吐く。
若干柔らかくなった口もとが笑っているように見えて、ふたりの間に流れていた緊張感が和らいだ。
「そういう姿勢で働いていただけるなら、こちらとしてもありがたいことです」
それだけ告げると、篠原さんは再びパソコンに向き直って、カタカタとキーボードを叩き始めた。
けれどすでに篠原さんは出社していて、自席のパソコンに向かってカタカタと手を動かしていた。
「おはようございます」
席に荷物を下ろしながら数席離れた場所にいる篠原さんに一礼すると、彼は手を止め、私の方へ向き直った。
「おはようございます。今朝、来ていただけて安心しました」
「はぁ……それは、どういう……」
「昨日、ずいぶんと遅くまで残業させてしまったので。嫌になってしまったのではないかと」
ほんの少しだけ申し訳なさそうに言う。
もしかして、残業を強いてしまったと気に病んでいたのだろうか。
「いえ、それは私の方からお願いしたことですから! こちらこそすみませんでした、遅くまでご指導いただいて」
慌てて手をパタパタさせて否定すると、篠原さんはちらりとうしろを振り返って目線を投げた。
その向こうには、前第二秘書であり大河の元カノ、恭子さんの姿がある。
「田上から、今朝注意をされたところです。あまり初日からいたぶるなと」
「いたぶるなんて、そんなっ……! ありがたいくらいです!」
「ありがたい……ですか」
言って篠原さんはふっと短く息を吐く。
若干柔らかくなった口もとが笑っているように見えて、ふたりの間に流れていた緊張感が和らいだ。
「そういう姿勢で働いていただけるなら、こちらとしてもありがたいことです」
それだけ告げると、篠原さんは再びパソコンに向き直って、カタカタとキーボードを叩き始めた。