俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
恭子さんはパチンとチークのコンパクトを閉め、今度はポーチから口紅を取り出す。
顔を鏡に少しだけ近づけて、薄くて形のいい唇に朱とベージュの混じった大人っぽい色のラインを引く。
「実際、ほどほどにこなしていれば、たいした努力をしなくてもやっていける現状がある。それなのに、どうしてあえて頑張ろうなんて考えるの?」
「いただいたお給料の分、ちゃんと働きたい。普通のことだと思いますが……」
「……残念なことに、それを普通と言える人って、意外と少ないのよ。社長や篠原さんがあなたを気に入った理由がなんとなくわかったわ」
唇を重ね合わせ色を馴染ませると、恭子さんは満足そうに口紅をしまった。
昨日よりもずっと晴れ晴れとした顔つきで私を眺め見て、去り際、私の肩をポンと叩いた。
「……なにかわからないことや困ったことがあったら言いなさい。先輩として助言してあげる」
「えっ!?」
思わず聞き返してしまった私をみて、恭子さんは失笑する。
「そんなに驚くこと?」
「私のこと、気に食わなかったんじゃ……」
「それはあなたが大河に甘える気満々の、やる気も実力もない腰かけ社員だと思ったからよ」
肩で切り揃えられた艶やかな直毛をさぁっとなびかせながら、恭子さんはしなやかに前を向く。
顔を鏡に少しだけ近づけて、薄くて形のいい唇に朱とベージュの混じった大人っぽい色のラインを引く。
「実際、ほどほどにこなしていれば、たいした努力をしなくてもやっていける現状がある。それなのに、どうしてあえて頑張ろうなんて考えるの?」
「いただいたお給料の分、ちゃんと働きたい。普通のことだと思いますが……」
「……残念なことに、それを普通と言える人って、意外と少ないのよ。社長や篠原さんがあなたを気に入った理由がなんとなくわかったわ」
唇を重ね合わせ色を馴染ませると、恭子さんは満足そうに口紅をしまった。
昨日よりもずっと晴れ晴れとした顔つきで私を眺め見て、去り際、私の肩をポンと叩いた。
「……なにかわからないことや困ったことがあったら言いなさい。先輩として助言してあげる」
「えっ!?」
思わず聞き返してしまった私をみて、恭子さんは失笑する。
「そんなに驚くこと?」
「私のこと、気に食わなかったんじゃ……」
「それはあなたが大河に甘える気満々の、やる気も実力もない腰かけ社員だと思ったからよ」
肩で切り揃えられた艶やかな直毛をさぁっとなびかせながら、恭子さんはしなやかに前を向く。