俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
社長室へ到着した私と篠原さんは、早速今日一日のスケジュールを確認した。
それから、電子メールをフォルダに切り分けて、大河が直接確認しなければならないものと私たちが口頭で伝えれば済むものに仕分けする。

社長である大河のもとには、大事なものから悪戯の類まで、一日に何百通というメールが送られてくる。
それを大河が確認しやすいよう選り分けるのも私たちの大切な仕事だ。

三十分経った頃、大河が社長室の扉を開け放った。想定通りの出社時刻だ。
私と篠原さんは一歩端により道を開け「おはようございます」と頭を下げる。

大河は部屋のど真ん中を足早に横切り、執務卓につく。
深く腰かけ脚を組むその姿は、昨日に引き続き人を寄せつけない圧倒的な存在感があった。
部屋には緊張が張り詰め、今日一日の開始が告げられる。

私は彼の出社時刻に合わせて準備しておいたコーヒーを淹れ、その一方で、篠原さんは報告を始めた。

「第一総和物産との提携に向けた調査資料です」

篠原さんは、なんとか私が最後まで作り上げた資料を大河へと手渡した。
大河はかなりの速さでページをめくり、もう読み終わったのだろうか、パンと机の上に放り投げる。

「提携にあたって、大きなデメリットはなさそうだな」

「はい」

まとめた結果に納得してくれたみたいだ、私はほっと安堵の息をつく。
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