俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「……大切なものなんですか?」

「……大切なひとからもらった、思い出の詰まったものなの」

わずかに震える彼女の声から、どれだけ大事にしていたものなのか、説明してもらわなくてもわかる気がした。

「手伝います。この前つけていた、ダイアのピアスですよね?」

「ええ」

「私、廊下側を探してきますので、恭子さんはその辺りを……」

「ありがとう」

リビングを恭子さんにお任せして、私は廊下と玄関を探すことにした。

小さいピアスとはいえ、そこそこ大きな粒のダイアだったから。落ちていればすぐに気がつくだろう。
耳もとで輝くそれがエレガントなスーツによく映えて綺麗だったな、と数日前の彼女の姿を思い起こす。

と、そこまで考えたところで、あれ? と私は首を傾げた。

スーツ姿のときに見たということは、勤務時間中もつけていたということだろうか。

なくしたのは土曜日、私が恭子さんのピアス姿を目撃したのは月曜日以降? 辻褄が合わない。

「……恭子さん、本当にこの家で落としたんですか?」

私の問いかけに、リビングの奥のうしろ姿がびくりと反応した。

「はっきりとはわからないわ。ただ、この家を出てからすぐにないと気づいたの……」

「でも、確か会社でもつけてらっしゃいましたよね?」

顔を上げた恭子さんの表情から血の気が引く。
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