俺の花嫁～セレブ社長と愛され結婚!?～

やっぱり、好きになる相手を間違えていたのかもしれない。
大河みたいな、セレブで社長の御曹司さまが、私なんかと釣り合うわけがない。結局父の言う通りだった。

愛も、恋も、幼なじみさえも失って――

……本気になんか、ならなきゃよかった。

これ以上この場所にいるのが耐えられなくて、私は荷物をまとめて家を出た。
玄関の鍵をしめたあと、もらった合鍵はポストの中へ投函しておく。

明日、会社で顔を合わせるのも気まずいけれど、せめて大河が用意してくれた『社長秘書』という仕事だけは頑張りたい。
わたしたちは二十年以上もの長い歴史を積み上げてきたけれど、唯一残った証はこれだけだ。

……十分だよね。

泣きたい気持ちを無理やりありがとうに変えて、一週間お世話になったこの家にさようならを告げた。

テーブルの上の夕食は、きっと今頃温かさを失って、大河と私の関係みたいに、冷えきってしまったことだろう。