俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「ちょっと待って! お見合いじゃなかったの!?」

「結婚すると決まっているのに、見合う必要があるか」

「お母さん!? 騙したの!?」

「ごめんね、そうでもしないと、莉依ちゃん、お着物着てくれないと思って」

ぐらぐらと眩暈に襲われて、帯のキツさも相まって倒れそうになってしまった。
この場にいる全員に騙された。そうまでして私を結婚させたいの?

「莉依、早く座りなさい」

「莉依ちゃん」

私を責め立てる声がぐわんぐわんと頭の周りで鳴り響き、次第に刃向かう気力さえ失われていく。

「大丈夫、幸せが約束された結婚だ」

「みんな莉依ちゃんのためを思ってやってるのよ?」

幸せ? 私のため?
大河に捨てられて、他に逃げ込める場所もない私が、本当にこんなことで救われるっていうの?

「莉依さん――」

聞き慣れない、低く丸みを帯びた声がして、私ははっと顔を上げた。
今まで一度も声を発することのなかった陣内さんが、正座をしたまま、私に向き直っていた。

「幸せにします。どうか、よろしくお願いします」

手を床につけたあと、その上におでこをぴったりと乗せて、深々と頭を下げる。
その様子を見ていたら、まるで拒む自分が悪者みたいな気がしてきて――

「……はい……」

もうなにも考えられなくなって、私はぼんやりと返事をした。
奥でぽっかりと空いている私のための空席にゆっくりと膝をつく。
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