俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
大河への愛おしさと、助けに来てくれた嬉しさと。
それらの感情が、大切な家族の意思に刃向かって駆け落ちみたいな真似をしてしまったことへの罪悪感とぶつかって、ぐるぐると胸中をかき乱していく。
それから、恭子さんを追って出て行ってしまったはずの大河が、どうして私のもとに来てくれたのだろうかという疑問もあって――
――あのとき、私をくださいと言ったのは本心なの?
振り返ってじいっと大河を見つめると、その不安を払拭するかのように、私の右手に指が絡められた。
「悩むな。お前が愛してるのは俺だろ?」
そう――たとえどんなに親から良縁を勧められたとしても、自分の気持ちを偽って別の人と結婚することなんてできない。
私が愛しているのは――。
こくりと頷くと、大河はわずかに瞳を細めて、探りを入れるように首を傾けた。前髪がさらりと揺れて左目にかかる。
暗いタクシーの車内、外から差し込む電飾の灯りに照らされて、あらわになった右の瞳には綺麗な光の線が映し出されていた。
「莉依。俺は怒ってるんだ。どうしてなんの抵抗もしないでおとなしく親に従った? 俺がいかなかったら、本当にあいつと結婚するつもりだったのか。意気揚々と着物まで着て……なに考えてる」
低い声で叱られて、思わずうっと口ごもる。
それらの感情が、大切な家族の意思に刃向かって駆け落ちみたいな真似をしてしまったことへの罪悪感とぶつかって、ぐるぐると胸中をかき乱していく。
それから、恭子さんを追って出て行ってしまったはずの大河が、どうして私のもとに来てくれたのだろうかという疑問もあって――
――あのとき、私をくださいと言ったのは本心なの?
振り返ってじいっと大河を見つめると、その不安を払拭するかのように、私の右手に指が絡められた。
「悩むな。お前が愛してるのは俺だろ?」
そう――たとえどんなに親から良縁を勧められたとしても、自分の気持ちを偽って別の人と結婚することなんてできない。
私が愛しているのは――。
こくりと頷くと、大河はわずかに瞳を細めて、探りを入れるように首を傾けた。前髪がさらりと揺れて左目にかかる。
暗いタクシーの車内、外から差し込む電飾の灯りに照らされて、あらわになった右の瞳には綺麗な光の線が映し出されていた。
「莉依。俺は怒ってるんだ。どうしてなんの抵抗もしないでおとなしく親に従った? 俺がいかなかったら、本当にあいつと結婚するつもりだったのか。意気揚々と着物まで着て……なに考えてる」
低い声で叱られて、思わずうっと口ごもる。