俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「これは、騙されて――」
「その場から逃げるなりなんなり、できただろ」
「だって、逃げる場所もなかったし――」
「俺は?」
大河が眉間に皺を寄せて、愕然とした声を出す。どうして俺を頼らないんだ、そんな顔をしているけれど――
「大河は、恭子さんを選んだんじゃ――」
「なに勝手に勘違いしてるんだ」
肩をぐいと引き寄せられて、思わず倒れ込んでしまった私の体は彼の胸の中に収まった。
絡まっていた右手が解かれ、代わりに背中をしっかりと抱き寄せられる。
とくん、とくん、という静かな、けれど力強い鼓動が伝わってきて、彼に包まれているという確かな実感となった。
「落とし物を返しに行っただけだろう」
「だってあれは、大河と恭子さんの愛の証なんでしょ……?」
「そうじゃない。あれは、あいつが仕事で自信を失くしてた時期に、俺からのエールとして送ったものなんだ」
ため息を交じらせ、私の頭の上にことんと顎を乗せた大河は、ゆっくりと語り始めた。
「どんなに頑張ったって、上手くいかない時期もある。そんなときに、お前はよくやってるよって、応援の意味で渡したものだ。恭子には、もう男として支えてやることはできないけれど、いつまでも仕事仲間として傍にいてほしいと伝えてきた。これから先、どんな苦難が待ち受けていても、これを身につけて頑張ると約束してくれた」
「その場から逃げるなりなんなり、できただろ」
「だって、逃げる場所もなかったし――」
「俺は?」
大河が眉間に皺を寄せて、愕然とした声を出す。どうして俺を頼らないんだ、そんな顔をしているけれど――
「大河は、恭子さんを選んだんじゃ――」
「なに勝手に勘違いしてるんだ」
肩をぐいと引き寄せられて、思わず倒れ込んでしまった私の体は彼の胸の中に収まった。
絡まっていた右手が解かれ、代わりに背中をしっかりと抱き寄せられる。
とくん、とくん、という静かな、けれど力強い鼓動が伝わってきて、彼に包まれているという確かな実感となった。
「落とし物を返しに行っただけだろう」
「だってあれは、大河と恭子さんの愛の証なんでしょ……?」
「そうじゃない。あれは、あいつが仕事で自信を失くしてた時期に、俺からのエールとして送ったものなんだ」
ため息を交じらせ、私の頭の上にことんと顎を乗せた大河は、ゆっくりと語り始めた。
「どんなに頑張ったって、上手くいかない時期もある。そんなときに、お前はよくやってるよって、応援の意味で渡したものだ。恭子には、もう男として支えてやることはできないけれど、いつまでも仕事仲間として傍にいてほしいと伝えてきた。これから先、どんな苦難が待ち受けていても、これを身につけて頑張ると約束してくれた」