俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
――だから、俺と恭子の間にもう恋愛感情はない、そう言いたいのだろうけれど。

「どうして、恭子さんが来たこと黙ってたの? 本当になにもなかったのなら、そう言ってくれれば……」

「悪い。変に勘違いされたくなくて、黙ってたんだ……」

それならどうしてピアスがあんなところに落ちていたのか。大河の部屋の、ベッドの上。それが意味するところといえば、てっきり――。

「……ふたり、ベッドの上でなにしてたの?」

私の問いかけに、大河の体が強張った。

「借りてた本を返そうとして、部屋に入れただけだ。お前が疑ってるようなことはないよ」

私を安心させようとしているのか、大河は困りながらもギクシャクとした笑みを浮かべる。

「本当に?」

恭子さんの話を聞く限りでは、なにもなかったとは思えないのだけれど……。

じいっと上目遣いで睨み付けると、大河はうっと怯んで目を逸らした。

「……一度、恭子に泣かれた。別れたくないって。だから……抱きしめた」

「抱っ……」

「変な意味じゃないからな!本当に彼女を落ち着かせるために肩を抱いただけで、なにをしたわけでもないんだ」

慌てて弁解したあと、今度こそ、大河の視線が真正面から私にぶつかってきた。

「信じろ。俺が愛してるのはお前だけだ」

真摯な瞳が真っ直ぐにこちらを向いて、ずるいと思った。そんな顔をされてはこれ以上責められない。

私がどれだけ傷ついたと思っている? それを大河は、精悍な顔立ちでうまいことごまかしてしまうんだ。
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