俺の花嫁～セレブ社長と愛され結婚!?～
「……見合いの勧めなら、たくさんいただきました」

「そうだろう」

私にとっては初耳で、ぎょっと大河を見返した。けれど大河は私の視線を受け止めながら、ゆっくりと頷いた。

「……ですが、莉依さん以上の女性と出会ったことはありません。今も、これからも、俺にとっては莉依さんが一番です」

大河の真剣な眼差しは私を捉えていて、まるで告白されているようだった。胸が熱くなる。

「それなら問うが、君は莉依のなにを気に入ったと言うんだ。数多の女性よりも秀でているなにかが莉依にあるとでも？」

まるで私には取り柄がないみたいな父の発言に軽く腹が立ち、自分の娘なのに！　と心の中で悲鳴を上げる。
けれど、もしも同意されてしまったらどうしようなんて臆病風が吹いて、ヒヤヒヤしながら大河を見上げると、その表情は真っ直ぐに父を見据えたままだった。

「今さらそんな質問をしないでください……彼女を一番近くで見てきたお父さんなら、わかってるはずだ」

熱を込めて、大河が拳をテーブルの上に乗せる。その手がぎゅっと強く握られたことに気づき、ドキリとする。

怒ってるの……？

一同シンと静まり返って、大河の答えに耳を澄ませた。

< 150 / 173 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop