俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
やがてチャペルのてっぺんにある鐘がその身を揺らし、清らかな音色を響かせた。
扉の奥からパイプオルガンの荘厳な旋律が聴こえてくる。
開く扉。外から差し込む真っ白な自然光に満たされた大聖堂で、数えきれないほどの観衆が一心に私を見つめた。

ゲストのほとんどは、大河の仕事の関係者だ。大企業の社長ともなると、出席者の数が桁外れになる。
顔も見たことのないような人々に囲まれて、私は純白のバージンロードを一歩、また一歩と歩きだす。

床をつたうドレスの裾が美しく際立つように、また、たくさんの人が出席できるように、バージンロードは普通よりも長い会場を選んだ。

遠くにいた大河の姿が一歩進むごとにくっきりとしてきて、彼の笑顔がベールの奥に映り込む。

今日、私は、この人のもとへお嫁に行く。
その選択に間違いはないと、自信を持って言える。なのに――

新婦側の最前列を確認して、そこに父の姿がないことに落胆する。
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