俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
父がいるはずだった場所には、大きなデジカメをかまえる莉生がいた。
莉生にはこの挙式の撮影係を頼んでいる。私と大河だけでなく、ゲストや周囲の様子も撮影してくれと頼んでいるのだけれど――
不意に莉生が私へパチリとウインクし、その大きなレンズをひとつうしろの列の一番端に向けた。
つられて視線を向けてみるも、最初はなんのことだかわからずに見逃してしまいそうになった。
けれど、かろうじて引っかかった違和感によくよく目を凝らして見れば、そこにいたのはゲストに紛れてひっそりと佇む父の姿。
――お父さん……
じわりと涙が瞳から零れ落ちそうになり、慌てて大きく息を吸う。
なんとか堪えて正面に向き直ると、壇上の大河がこちらに向かって手を伸ばしていた。
さぁ、はやく、俺のもとへ――そんな声が聞こえてきたような気がした。
じんと胸が熱くなり、思わず足取りが早くなってしまう。
隣を歩く母が落ち着けといわんばかりに私の腕を引っ張った。
けれど、早く彼とこの幸せを分かち合いたい、愛する人たちに見守られて大河と一緒になりたい、そう願う心が急いて――
壇上へと続く四段の段差を駆け上り、最後の一段、もうすぐ大河にその手が届くというとき。
ヒールの踵を踏み外し、ガクンと体が傾いた。
しまった、そう気づいたときにはすでに遅く、私の体は後方に向かって傾いていて――
「きゃっ――」
抗えない重力に背中から引き寄せられ、思わず悲鳴が漏れた。
莉生にはこの挙式の撮影係を頼んでいる。私と大河だけでなく、ゲストや周囲の様子も撮影してくれと頼んでいるのだけれど――
不意に莉生が私へパチリとウインクし、その大きなレンズをひとつうしろの列の一番端に向けた。
つられて視線を向けてみるも、最初はなんのことだかわからずに見逃してしまいそうになった。
けれど、かろうじて引っかかった違和感によくよく目を凝らして見れば、そこにいたのはゲストに紛れてひっそりと佇む父の姿。
――お父さん……
じわりと涙が瞳から零れ落ちそうになり、慌てて大きく息を吸う。
なんとか堪えて正面に向き直ると、壇上の大河がこちらに向かって手を伸ばしていた。
さぁ、はやく、俺のもとへ――そんな声が聞こえてきたような気がした。
じんと胸が熱くなり、思わず足取りが早くなってしまう。
隣を歩く母が落ち着けといわんばかりに私の腕を引っ張った。
けれど、早く彼とこの幸せを分かち合いたい、愛する人たちに見守られて大河と一緒になりたい、そう願う心が急いて――
壇上へと続く四段の段差を駆け上り、最後の一段、もうすぐ大河にその手が届くというとき。
ヒールの踵を踏み外し、ガクンと体が傾いた。
しまった、そう気づいたときにはすでに遅く、私の体は後方に向かって傾いていて――
「きゃっ――」
抗えない重力に背中から引き寄せられ、思わず悲鳴が漏れた。