俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
視界が天井を向いた瞬間。
すかさず手を取ってくれた大河によって、私の体はなんとか片足を浮かせた状態で踏み留まり、バージンロードで大転倒の危機を免れた。
大河のもう片方の手が強く私の腰を引き寄せる。

ベールがふんわりとめくれ上がり、世界が鮮やかさを取り戻す。目の前では、大河が口の端を跳ね上げ、にんまりと嘲笑っていた。

「なにやってんだ、ドジ」

私にしか聞こえない小さな声で囁いて、次の瞬間。

私の体は大河によって抱き上げられ、まるでメリーゴーランドのようにくるくると空を舞っていた。

「た、大河!?」

びっくりした私は目を丸くする。
純白のウェディングドレスが私の体と一緒に弧を描き、風にのってはためいた。
長い裾のレースが光を受けてキラキラとオーロラのように揺らめく。

――わぁぁぁぁぁぁぁ――

客席から歓喜の声が上がる。

大河は私を抱き上げたまま、歓声とパイプオルガンの音色に負けないくらいの大きな声で叫んだ。

「莉依! 愛してる! 世界で一番幸せな花嫁にしてやる!」

そう高らかに宣言した大河の表情は、長い間、私が愛し続けてきたひまわりのような無垢な笑顔。

「大河……」

言われるまでもなく、私は世界で一番幸せな花嫁だ。間違いなく。
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